歴史研究者がオークションサイトで落札した絵巻「関東大震災絵巻 大正15年」。
生々しい筆致で、集団による虐殺場面の情景が描写されていました。何のために、だれが描いたのか。作者をめぐる謎解きが始まりました。
現場へ! 関東大震災と朝鮮人虐殺
2021年2月25日、元専修大教授の新井勝紘(かつひろ)(78)はパソコンでオークションサイトを開き、目を見張った。「関東大震災絵巻 大正15年」と題する資料が出品されていたからだ。
日本近代史研究者の新井は、国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)の助教授時代、関東大震災の常設展示にかかわり、震災、とくに朝鮮人虐殺を描いた絵を探した。童画家の河目悌二(かわめていじ)が描いたとみられる水彩画「関東大震災朝鮮人虐殺スケッチ」や、日本画家の萱原白洞(かやはらはくどう)による絵巻「東都大震災過眼録」を発見。企画展などで紹介した。
新井は歴史資料の入手手段として、最近はオークションサイトも使っている。今回、競売に参加してネット上で2人と競争した結果、3月2日に絵巻2巻を9万7千円で競り落とした。
数日後に届いた絵巻を広げて…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル